9月3日(木)より、THE BOOK ENDでは、篠田優 写真展「Fragments of the place 2017-2019」を開催いたします。
かつてあるところに位置していた存在を、そこにいなくなったあとも見つづけるということ。言いかえれば、もう戻ることのできない時のかたちが目の前にあるということ。その不思議さと残酷さに、わたしはずっと惹かれているのかもしれません。
本展覧会に並ぶ写真や映像はある美術館とその周囲で撮影したものです。1966年に開館したその建物は、2017年に美術館としての役目を終え、二年後には完全に解体されました。それに伴い、美術館の前に広がっていた公園もまたその風景を大きく変えています。
はじめてそこを訪れたのは、クロージングを記念する展覧会に参加するためでした。
つまり、その場所がまもなく様子を変えてしまうことは、わたしにあらかじめ告げられていたのです。そのような時のなかで、なにをすればいいのか。
その建物がコンクリートの一片になって運び出されるまでのあいだに、わたしがレンズを介して見ていたのは、空っぽの展示室に置かれた椅子、時間を経ることで生じた壁面の肌理、そして、公園の植栽で身を休める鳥や遊具の上に立って家族に話しかける子供の様子など。公共建築物の取り壊しという事態のもつ大きさに比べれば、それらは取る(撮る)に足らないものなのでしょうか。
それでも、イメージというかたちでわたしが残しておきたかったのは、ある時と場所をたしかに織り成すものでありながらも、公的な記録の中には居場所をうまく見いだすことができないような、事物やひとの、かけがえのない姿だったのだと思います。
−篠田優
本展では写真作品9点に加え、映像作品の展示も行います。
時を経た壁や照明、コンクリート、ガラス、周辺の植物、集まる鳥たち。ともすれば見過ごされてしまうような細部へ注がれる視線から再び浮かび上がってくるこの場所のアトモスフィア。篠田優の写し出すその「記録」をぜひ会場でご体感ください。
篠田優「Fragments of the place 2017-2019」
2026年9月3日(木) − 9月28日(月) 11:00 - 18:00 火·水曜定休 /入場無料
兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-5海岸ビルヂング 302 THE BOOK END
080-7007-6949 / hello@the-book-end.com
※駐車スペースはございませんのでお車でのご来店はご遠慮ください。
※入場制限やアポイントメント制とさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
※展示物の関係上、祝花はお断り申し上げます。
関連イベント
トークイベント「Fragments of the place 2017-2019」
2026年9月23日(水・祝)16:30~18:00(16:00開場)
登壇者:篠田優、岡田和奈佳(喫水線)、稲垣晴夏(東京芸術大学助手)
定員:20名 ※オンラインストアより要予約
料金:1980円(税込)本展示オリジナルリソグラフポスター付き
開催場所:神戸市中央区海岸通3-1-5 海岸ビルヂング302 THE BOOK END
篠田優 Yu Shinoda
1986年長野県生まれ。2021年に明治大学大学院建築・都市学専攻博士前期課程修了。現在、明治大学理工学部建築学科助教。Alt_Medium共同主宰。
写真やヴィデオを主なメディウムとして使用し、「記録」の実践と再考をテーマとして制作をおこなっている。それは、今まさに目の前から消えつつあるものに対する率直な応答であるとともに、そのような行為と不可分にある恣意性や限界、そしてそのことから陰画的に示されるはずの可能性を問うという、いわばポリフォニックな実践として遂行されている。
近年の個展に「Forest | Monument」(photographers’ gallery、2026年)「Voice(s)」(長野県立美術館、2025年)、など。主な刊行物として『Fragments of the place 2017-2019』(喫水線、2024年)、『ひとりでいるときのあなたを見てみたい』(paper company、2021年)などがある。
https://shinodayu.com/
https://www.instagram.com/shinoda_yu_ordinary_objects/